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『胎内』in青山円形劇場

阿佐ヶ谷スパイダースの舞台『胎内』に行って参りました。

大樹の根本にある、洞の中のような舞台美術は私の身体の
小ささを感じるほど大きく、飲み込まれるようだった。
天井から滴る水、舞台中央に敷き詰められた土の匂い。
ろうそくを灯すような薄暗い照明が空気に質感を与える。

物語の始まりは、終戦から二年が過ぎたある日。二人の
男女が大荷物を手に歩いている。村子と花岡。彼らは旅
行者・・・というより、明らかに逃亡者である。東京で金が
らみの大きな事件に絡んだ花岡と、彼についてきた妾の
村子は追っ手から逃れるため、防空壕として使われてい
た大きな穴に身を潜める。

と、その中には浮浪者と見間違えるほどのみすぼらしい
男が一人。彼は佐山と名乗り、「ここを作ったのは私だ」
と語り出す。兵役にとられた後、上官の暴力と罵声の中、
防空壕を掘り続けたという。戦争が終わりすり減った心と
身体だけを今に残した佐山は、すっかり生きる気力を失っ
ている。

この防空壕を出る出ないと花岡と村子がもめるうち、
土砂崩れが起きて三人はその防空壕に閉じ込められて
しまう。徐々に酸素や食料が失われていく極限状態。
幻覚や絶望、妄想に溺れていく中で
・「自らが今生きている喜び」に目覚める者
・眼前に差し出された死に自我を崩壊させる者
・ただただ死に脅え、小さく震える者

三者三様の、現実との向き合い方が浮き彫りにされていく。

誰か一人が異常でもなく、誰か一人が正しいわけでもなく。
ただ生きていて、最終的に辿りついた場所が違うだけ。
違いすぎる三人は、死の前で寄り添うように身を寄せ合う。
そこで、舞台は幕を閉じる。

舞台慣れしていない私には若干気の引ける(魅力を感じな
い)作品であった。正直な所「生きたい」と語るのは、そうい
った極限状態にならないと感じられない。27年間生きてき
てそう言った"状態"を味わった事のない私には難しい。

妙に艶っぽいのに古風な印象を併せ持つ村子役の奥菜恵
の演技に驚かされた。

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